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近時、いわゆる固定残業手当(定額残業代)制度、すなわち、定額の残業手当を支払うことで、時間外労働に対する割増賃金の支払いに代えるとの制度を導入している会社が増えています。
固定残業手当制度も、現実の時間外労働時間に基づいて算出される割増賃金額を下回らないかぎり適法です。
ただし、そもそも固定残業手当制度として認められるためには、少なくとも、(1)基本給部分と固定残業手当部分とを明確に区別できること、(2)他の支給目的と混同する名称が用いられていないこと、(3)固定分を超えた部分について差額を支払うことが、(4)就業規則・賃金規程・労働条件通知書等に記載されていることが必要とされています。
これらの要件を満たしていないと、制度が無効となってしまう可能性があるので、注意が必要です。
実際、過去の裁判例では、就業規則および賃金規程が明確性・一義性に欠けること、実際に労働者が自己の毎月の労働による具体的時間外割増賃金額を了知できないこと等から、割増賃金が能力給に含まれるとの会社の主張を認めなかった事案があります(東京地判平成20年3月21日、労判967号35頁、フジビルメンテナンス事件)。
また、たとえ労働者と、固定額しか支払わないとの合意をしていたとしても、そのような合意は労働基準法37条に反し無効となります。
そして、固定残業手当(定額残業代)制度が無効とされると、当該手当の額が割増賃金算定の基礎金額に算入されてしまい、予想外の金額を支払わなければならなくなる危険性があります。
固定残業手当(定額残業代)制度を導入・運用する際は、きちんと弁護士、社会保険労務士等の専門家に相談することをお勧めします。
(弁護士 國安耕太)
※下記の日程で経営者勉強会を開催いたします。定員少数のため満席の場合はご容赦ください。
*第1回経営者勉強会
日時:平成28年12月20日午前11時30分~午後1時
定員:7名
テーマ:従業員の秘密保持義務(秘密保持誓約書の作り方)
参加費(昼食代):1500円
*第2回経営者勉強会
日時:平成29年1月10日午前7時〜8時30分
定員:7名
テーマ:従業員の秘密保持義務(秘密保持誓約書の作り方)
参加費(朝食代):1500円
*第3回経営者勉強会
日時:平成29年1月24日午前11時30分〜午後1時
定員:7名
テーマ:営業秘密とは
参加費(昼食代):1500円