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さて、前回、経営者としては、コンプライアンス違反が起きないよう注意するとともに、コンプライアンス違反が起きたときにそれをすぐに察知し、対応できる体制を整備することが重要、という話をしました。
そこで、今回からは、起こりがちなコンプライアンス違反例を3つほどご紹介したいと思います。
まず、一つ目は、「会社から支給されたボールペンを自宅に持ち帰って使うこと」です。
実は、これもコンプライアンス違反となりうる行為です。
ボールペンくらいならいいのではないか・・・と考える方もいるとは思います。
しかし、備品の無断持ち出しは、それがたとえボールペン1本、クリップ1個であったとしても、会社の持ち物を自分の物にしようとする行為ですから、刑法上、窃盗罪(刑法235条)または横領罪(刑法252条)となりえます。
ボールペン1本の値段は、100円やそこらですが、たとえ値段は安くても、犯罪にあたりうる行為であることは変わりありません。
また、いくら1本100円であったとしても、100円のボールペンを1000人に支給すれば、10万円です。
このようなことが積み重なっていくと・・・会社にとって看過しえない影響を及ぼす可能性も決して低くはないといえます。
さらにいえば、このような小さいコンプライアンス違反の陰に、大きなコンプライアンス違反が隠れていることも珍しくはありません。
大きなコンプライアンス違反から対処していく必要があるのは当然ですが、大きな違反の対処に目途が立ってきたら、このような細かい部分にもメスを入れていく必要があると思います。
(弁護士 國安耕太)