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経営者のためのコンプライアンス入門5

前回、無意識でコンプライアンス違反(違法な行為)をしていることもあるので、注意が必要である、ということをお話ししましたが、このような事象は会社資金の私的流用に限りません。

 

「会社から支給された携帯で、(家族に掛けるなど)私的な電話すること」

「会社から支給されたパソコンで、私的な調べ物をすること」

も、やってしまいがちな行動かもしれませんが、いずれもコンプライアンス違反となりうる行為です。

すなわち、このように会社から支給された携帯やパソコンは、業務で使用するという目的で支給されているものですから、これを私的に使用することは許されません。

 

他方で、休日や休憩中など勤務時間外であっても、従業員に会社貸与の携帯電話に出るよう求めている会社もあります。

このように、勤務時間外の電話対応を義務付けている場合、労働からの解放が保障されているとはいえず、労働契約上の役務提供がされていると評価されてしまう可能性があります。

そして、労働契約上の役務提供がされていると評価されたときは、割増賃金(残業代)等の支払が必要となります。

このような場合、実際に割増賃金を支払っていることはないでしょうから、これもコンプライアンス違反となります。

 

無意識であったとしても、コンプライアンス違反は、会社の信用を貶めるリスクがある危険な事象です。

経営者としては、そのようなコンプライアンス違反が起きないよう注意するとともに、コンプライアンス違反が起きたときにそれをすぐに察知し、対応できる体制を整備することが重要です。

(弁護士 國安耕太)

 

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