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今月1日から、専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法(有期雇用特別措置法)が施行されています(*1)。
これは、同一の使用者との間で有期労働契約が繰り返し更新されて通算5年を超えた場合は、労働者の申込により、無期労働契約に転換されるという労働契約法18条(*2)の例外を定めたものです。
特例の対象者は、
①「5年を超える一定の期間内に完了することが予定されている業務」に就く専門的知識等を有する有期雇用労働者(有期雇用特別措置法2条3項1号)
および
②定年後に有期契約で継続雇用される高齢者(有期雇用特別措置法2条3項2号)
です。
つぎに、特例の効果は、つぎの各期間、無期転換申込権が発生しないというものです(有期雇用特別措置法8条)。
①専門的知識等を有する有期雇用労働者については、一定の期間内に完了することが予定されている業務に就く期間(ただし、上限10年)
②定年後に有期契約で継続雇用される高齢者については、定年後引き続き雇用されている期間
ただし、いずれも、雇用管理に関する措置についての計画を作成し、これを厚生労働大臣に提出して、当該計画が適当である旨の認定を受けていることが条件となります。
また、専門的知識等を有する有期雇用労働者には、博士の学位を有する者や弁護士・税理士等の士業の他、大学卒で5年以上の実務経験を有するシステムエンジニア等も含まれています。
ただ、年収1075万円以上との要件も課されていますので、対象は相当限定されると思われます。
以上のとおり、無期転換の例外は、かなり範囲を限定されています。
システムエンジニアだから、技術者だから、という理由で無期転換を拒むことはできませんので、ご注意ください。
(弁護士 國安耕太)
*1
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000075676.pdf
http://hyogo-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/hourei_seido_tetsuzuki/roudoukijun_keiyaku/roudoukeiyakuhou/yuukitokusohou.html
*2
労働契約法18条1項
「同一の使用者との間で締結された二以上の有期労働契約(契約期間の始期の到来前のものを除く。以下この条において同じ。)の契約期間を通算した期間(次項において「通算契約期間」という。)が五年を超える労働者が、当該使用者に対し、現に締結している有期労働契約の契約期間が満了する日までの間に、当該満了する日の翌日から労務が提供される期間の定めのない労働契約の締結の申込みをしたときは、使用者は当該申込みを承諾したものとみなす。この場合において、当該申込みに係る期間の定めのない労働契約の内容である労働条件は、現に締結している有期労働契約の内容である労働条件(契約期間を除く。)と同一の労働条件(当該労働条件(契約期間を除く。)について別段の定めがある部分を除く。)とする。」