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亡くなった後、自分の財産をどのように承継して欲しいかについては、遺言であらかじめ決めておくことができます。
しかし、遺言の場合、つぎの承継者を指定できるにすぎず、その後の承継について決めることはできません。
たとえば、先祖伝来の土地建物について、自分の死後はまず、妻に相続させ、妻の死後は長男に相続させたいと思っていたとしても、遺言では、妻に相続させることまでしか決めることはできません。
これに対し、信託を活用した場合、委託者の希望通りに、承継者の順番を決めることができる可能性があります。
たとえば、先祖伝来の土地建物に信託を設定し、当初は、自身を第1次受益者とします。
そして、この信託契約において、第2次受益者を妻、第3次受益者を長男と指定することにより、承継者の順番を決めることができます。
もちろん、長男が先に亡くなってしまったような場合など不測の事態が生じたときは、当初の予定通りに承継できないこともあります。
しかし、財産の承継にこだわりがある場合に、それを実現しうる制度が存在するかしないかは、大きな違いではないかと思います。
また、この制度を活用することで、事業承継を円滑に進めることができる可能性もありますし、相続の生前対策となる可能性もあります。
その意味でも、委託者の希望通りに、承継者の順番を決めることができる可能性がある、というのは重要な意味を持ってくるといえます。
(弁護士 國安耕太)