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さて、前回、(1)用法違反の場合と、(2)無断譲渡・転貸の場合は、比較的契約の解除が認められやすいという話をしましたが、実は、もうひとつ、契約の解除が認められやすい場合があります。
それは、暴力団等の反社会的勢力が関わっている場合です。
まず、居住目的と偽って、暴力団事務所として使用したような場合、使用目的違反を根拠に解除することが可能でしょう。
また、賃借人が賃貸人に無断で反社会的勢力に転貸しているような場合であれば、無断転貸を根拠に解除することが可能です。
他方で、近時、暴力団等の反社会的勢力が、その身分や目的を秘して建物を賃借するケースが見受けられます。
たとえば、賃借人が暴力団員であるものの、賃借人である暴力団員以外の者が出入りしているといった事情もなく、毎月の賃料を約定通り支払って、特段の問題行動なく、通常の住居として使用しているような場合です。
この場合、特段の定めがなければ、信頼関係を破壊するような背信的な行為がない以上、さすがに暴力団員というだけでは賃貸借契約を解除することは難しいでしょう。
ただ、賃貸建物に暴力団員が居住しているだけで、暴力団同士の抗争に巻き込まれてしまう可能性があります。
そこで、賃貸借契約書に、暴力団排除条項を設け、相手方が暴力団員等である場合は、そのことだけで契約を解除できるようにしておきましょう。
(弁護士 國安耕太)