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さて、前回、更新拒絶の通知には正当事由が必要であり、実際の裁判では、この正当事由をそう簡単には認めてもらえないことが多い、という話をしました。
正当事由の有無の判断においては、まず、(1)賃貸人が建物の使用を必要とする事情および(2)賃借人が建物の使用を必要とする事情を検討することになります。
(1)賃貸人が建物の使用を必要とする事情としては、(ア)賃貸人自身がその建物を使用・利用する必要性、(イ)建物の修繕・取壊し等をする必要性、(ウ)資産状況等が勘案されます。
また、(2)賃借人が建物の使用を必要とする事情としては、(ア)賃借人自身がその建物を使用・利用する必要性、(イ)建物を使用していた期間、(ウ)資産状況等が勘案されます。
(1)賃貸人が建物を使用する高度の必要性があり、(2)賃借人が建物を使用する必要性がないのであれば、正当事由が認められることになります。
しかし、実際の事案では、そのような一方的な状況となることはほとんどありません。
そこで、裁判では、財産上の給付(立退料)を補完的に考慮することによって、正当事由を認めることが多いのです。
(もちろん、賃貸人が建物を使用する必要性が皆無であれば、いかに財産上の給付をしようとも、正当事由が認められないことはあります。)
(弁護士 國安耕太)