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さて、前回まで、①正しい人(会社)が勝つ、②裁判所は、正しい人(会社)の味方である、③裁判に勝てば、未払債権を回収できるというのが幻想である、ということを説明してきました。
人(会社)を信用するのは大事なことですが、自分の会社は、自分で守らなければなりません。
会社経営者は、この現実を直視する必要があります。
では、どのように債権回収におけるリスクの管理をしていけばいいのでしょうか。
まず、なんといっても重要なことは「取引開始前に、信用できる取引先か入念にチェックすること」です。
「そんなこと、当たり前じゃないか」
「当然、信用できるかできないかチェックしているよ」
と思うかもしれません。
しかし、みなさんにぜひ覚えておいていただきたいのは、世の中で起きている紛争の多くは、
「信用して取引を始めた相手方とのトラブルである」
ということです。
これはある意味、当たり前です。
誰しも、信用できない相手となんて、最初から取引をしませんから、トラブルにもなりません。
では、なぜ、「信用して取引を始めたにもかかわらず、その信用が裏切られる事態が生じてしまう」のでしょうか。
ここで重要なのは、「いまここで相手方のことを信用できるか」ではなく、「将来にわたって相手方のことを信用できるか」をきちんと検討したかどうかです。
「もともと知っていて、信用できるから」
「信頼できる人からの紹介だから」
という抽象的な理由ではなく、具体的な根拠に基づいて、信用できるかをきちんと判断するようにしましょう。
(弁護士 國安耕太)