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メンタルヘルス対策の重要性

労働安全衛生法が改正され、今年12月1日より従業員の医師・保健師などによるストレスチェックが義務化されることに伴い、従業員のメンタルヘルス対策が脚光を浴びています。

http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei12/kouhousanpo/

 

パワハラによって、従業員のメンタルヘルスに問題が生じると、うつ病に罹患したり、最悪の場合自殺を図るなどの重大な結果が生じることさえあります。

このような場合、パワハラに直接の責任がある上司等だけでなく、会社自体も損害賠償責任を負う可能性があります。

これは、労働契約法5条において「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。 」と定められていることなどから、会社は従業員が心身ともに安全に仕事ができる環境を整える義務があるとされていることによります。

 

そのため、パワハラ事案では、会社側が高額の賠償を命じられる事例も相次いでいます。

平成27年3月18日、病院に勤務する医師に対するパワハラによる自殺が問題となった事件において広島高等裁判所松江支部は、病院の運営者に約1億円の支払を命じました。

http://www.nnn.co.jp/news/150319/20150319008.html

また、平成27年1月13日、金融機関に勤務する営業担当職員に対するパワハラによる自殺が問題となった事件において甲府地方裁判所は、金融機関に対し約3480万円の支払を命じています。

http://www.47news.jp/CN/201501/CN2015011301002529.html

 

今年の12月以降、同種の裁判では、会社側が法令に従ったメンタルヘルス対策をきちんと実行していたかも大きな争点となるでしょう。メンタルヘルス対策の強化は、従業員の生命・健康を守るという観点からだけでなく、多額の損害賠償請求を回避するという観点からもますます重要性が増しているといえます。

(弁護士南部弘樹)

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