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昨日(平成27年2月26日)、最高裁で、職場における性的な発言等のセクシュアル・ハラスメント等を理由としてされた懲戒処分(出勤停止30日等)を有効とする判決が出されました。
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/883/084883_hanrei.pdf
原審は、被害者が明白な拒否の姿勢を示しておらず、加害者である上司が性的な言動も被害者から許されていると誤信していたこと等を、加害者に有利な事情として取扱いました。
これに対し、最高裁は、「職場におけるセクハラ行為については、被害者が内心でこれに著しい不快感や嫌悪感等を抱きながらも、職場の人間関係の悪化等を懸念して、加害者に対する抗議や抵抗ないし会社に対する被害の申告を差し控えたりちゅうちょしたりすることが少なくないと考えられること」や性的な言動の内容等に照らせば、加害者に有利な事情として取り扱うことはできないと判断しています。
また、原審は、懲戒を受ける前にセクハラに対する懲戒に関す会社の具体的な方針を認識する機会がなく、事前に会社から警告や注意等を受けていなかったことを加害者に有利な事情として取扱いましたが、最高裁は、これらについても加害者に有利な事情として取り扱うことはできないと判断しています。
本件の特色は、主として、
①性的な発言を理由に出勤停止という懲戒処分を行い、これが懲戒権の濫用にはあたらないと判断されたこと
②加害者側の認識がどのようなものであったのかを加味せず、加害者の行為を中心に判断していること
にあります。
本件は、あくまでも事例判断ですが、最高裁が、セクハラに関する厳しい処分を有効としたことをうけ、今後は、雇用主である会社に、より一層積極的な対応が求められるでしょう。
(弁護士 國安耕太)