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相続

相続の基礎7(遺言2)

さて、先週、特別な方式による場合を除き、遺言は、①自筆証書、②公正証書または③秘密証書によってしなければならないとされており(民法967条)、形式を満たしていない遺言は無効となることをお伝えしました。

 

では、具体的に、どのようなような形式を満たさなければならないのでしょうか。

 

まず、①自筆証書遺言ですが、「遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。」(民法968条1項)とされています。

「自書」とされていますので、すべての部分を自書する必要があり、パソコンによる印字や代筆が含まれていると、たとえ一部であっても無効となります*1。

 

つぎに、②公正証書遺言ですが、公証人が関与して作成されます(民法969条*2)。

公証人が関与して作成されるため、形式を満たしていないということは通常あり得ず、その効力が問題となることが少なく、また、その原本は公証役場で保管されるため、偽造や紛失等のおそれがないというメリットがあります。

 

最後に、③秘密証書遺言ですが、公証人または証人の前に封印した遺言書を提出することで、遺言の存在は明らかにしながらも内容を秘密にすることができる方式の遺言です(民法970条*3)。

 

②公正証書遺言以外の、①自筆証書遺言および③秘密証書遺言については、法律家が関与せずに作成することができるので、費用があまり掛からないというメリットがあります。

 

他方、法律家が関与しないため、方式を満たしていないと、遺言そのものが無効となってしまうというデメリットがあります。

 

そのため、遺言書を作成する際は、②公正証書遺言を活用することをお勧めします。

(弁護士 國安耕太)

 

*1

ただし、現在、国会で民法の相続分野の改正が審議されており、財産目録については自書でなくても有効となる可能性があります。

また、自筆証書遺言の保管制度も創設される予定です。

 

*2 民法969条

公正証書によって遺言をするには、次に掲げる方式に従わなければならない。

一 証人2人以上の立会いがあること。

二 遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授すること。

三 公証人が、遺言者の口述を筆記し、これを遺言者及び証人に読み聞かせ、又は閲覧させること。

四 遺言者及び証人が、筆記の正確なことを承認した後、各自これに署名し、印を押すこと。ただし、遺言者が署名することができない場合は、公証人がその事由を附記して、署名に代えることができる。

五 公証人が、その証書は前各号に掲げる方式に従って作ったものである旨を附記して、これに署名し、印をおすこと。

 

*3 民法970条

秘密証書によって遺言をするには、次に掲げる方式に従わなければならない。

一 遺言者が、その証書に署名し、印を押すこと。

二 遺言者が、その証書を封じ、証書に用いた印章をもってこれに封印すること。

三 遺言者が、公証人1人及び証人2人以上の前に封書を提出して、自己の遺言書である旨並びにその筆者の氏名及び住所を申述すること。

四 公証人が、その証書を提出した日付及び遺言者の申述を封紙に記載した後、遺言者及び証人とともにこれに署名し、印を押すこと。

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相続の基礎6(遺言1)

相続の基礎、最後は、遺言についてです。

 

遺言とは、遺言者が、自身の死後の法律関係を定めるためにする意思表示をいいます。

大雑把にいえば、自分の死後に自分の財産を誰に対し、どのように分配するかなどを明らかにするものです。

 

遺言によって定めることができる事項(遺言事項)は、法律(民法等)に定められており、法律で定められていない事項は、法的な効力を生じません。

 

遺言事項は、おおむね

(1)相続に関する事項(相続分の指定(902条)や遺産分割方法の指定(民法908条)など)

(2)相続以外の財産に関する事項(遺贈(民法964条)や生命保険金の受取人の変更(保険法44条)など)

(3)身分関係に関する事項(認知(民法781条2項)や未成年後見人の指定(民法839条1項)など)

(4)遺言の執行に関する事項(遺言執行者の指定(民法1006条1項))

に分類することができます。

 

また、原則として、遺言は、書面でしなければならず(民法968条1項、969条、970条1項)、口頭でした遺言は無効となります(民法960条)。

また、特別な方式による場合を除き、遺言は、①自筆証書、②公正証書または③秘密証書によってしなければならないとされています(民法967条)。

 

なお、形式を満たしていない遺言は無効となるので、注意が必要です。

(弁護士 國安耕太)

 

 

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相続の基礎5

先週は、遺留分について、簡単にご紹介しましたが、このほか、特別受益や寄与分が問題となることも多いです。

 

特別受益とは、相続人のうちの1人が、被相続人から、遺贈や生前贈与などで特別の利益を受けた場合に、当該相続人の当該利益分について、遺産取得分が減額されるという制度です(民法903条*1)。

 

これまでお伝えしてきたとおり、遺言書等がない場合、原則として、法定相続人が法定相続分に応じて、被相続人の遺産を相続します。

しかし、相続人の中に、被相続人から高額な生前贈与を受けるなどによって特別に利益を得ていた人がいる場合にまで単純に法定相続分に従って相続することになると、相続人間で不公平が生じてしまいます。

 

そこで、民法では、このような特別受益がある相続人の遺産取得分を減らすことで、各相続人間の公平をはかっています。

 

ただ、どのような場合であれば、特別受益にあたるといえるのか必ずしも一概にはいえません。

 

つぎに、寄与分とは、相続人の中に、被相続人の財産の増加や維持に特別に貢献した人がいる場合に、当該相続人の遺産取得分を増額するという制度です(民法904条の2*2)。

 

寄与分も、各相続人間の公平をはかる制度ですが、特別受益同様、寄与分にあたるといえるのか必ずしも一概にはいえません。

 

このように相続に際しては、遺留分、特別受益や寄与分といった法的問題が生じる可能性があるので、きちんと専門家に相談することが重要といえます。

(弁護士 國安耕太)

 

*1民法903条

「1 共同相続人中に、被相続人から、遺贈を受け、又は婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与を受けた者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与の価額を加えたものを相続財産とみなし、前三条の規定により算定した相続分の中からその遺贈又は贈与の価額を控除した残額をもってその者の相続分とする。

2 遺贈又は贈与の価額が、相続分の価額に等しく、又はこれを超えるとき は、受遺者又は受贈者は、その相続分を受けることができない。

3 被相続人が前二項の規定と異なった意思を表示したときは、その意思表 示は、遺留分に関する規定に違反しない範囲内で、その効力を有する。」

 

*2民法904条の2

「1 共同相続人中に、被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付、被相続人の療養看護その他の方法により被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から共同相続人の協議で定めたその者の寄与分を控除したものを相続財産とみなし、第九百条から第九百二条までの規定により算定した相続分に寄与分を加えた額をもってその者の相続分とする。

2 前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所は、同項に規定する寄与をした者の請求により、寄与の時期、方法及び程度、相続財産の額その他一切の事情を考慮して、寄与分を定める。

3 寄与分は、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から遺贈の価額を控除した残額を超えることができない。

4 第二項の請求は、第九百七条第二項の規定による請求があった場合又は第九百十条に規定する場合にすることができる。」

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相続の基礎4

先週、遺言書等がなく、遺産分割協議がまとまらない場合、(1)不動産は、不可分であり、相続持分に応じて分割して相続するということが基本的に出来ず、相続割合に従って共有となること、(2)共有は、非常に不安定な状態であることをお伝えしました。

 

ただ、上記でも述べていますが、共有となってしまうのは、あくまでも、遺言書等がなく、遺産分割協議がまとまらない場合です(もちろん、遺産分割協議の結果、あえて共有にするということがないわけではありません。)。

 

遺言書等を作成していれば、相続割合に縛られず、自分の財産を自分の思うように相続させることができます。

しかし、遺言書等があれば、何でもできるというものではありません。

 

それは、相続人には、遺留分、という権利があるからです。

 

遺留分とは、一定の相続人に留保されていて、遺言による自由な処分に対して制限が加えられている持分的利益をいいます。

要するに、遺言書等で、自分の相続分がゼロにされていたとしても、一定の財産はもらう権利があるということです(民法1028条)。

 

*民法1028条

「兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める割合に相当する額を受ける。

一 直系尊属のみが相続人である場合 被相続人の財産の3分の1

二 前号に掲げる場合以外の場合 被相続人の財産の2分の1」

 

このように相続対策を行う場合は、相続税だけでなく、この遺留分についても十分検討しておく必要があります。

(弁護士 國安耕太)

 

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相続の基礎3

先週金曜日(平成30年2月23日)、「保険マンが身につけておけば必ずお客様が増えること」と題するセミナーで、講師を務めさせていただきました。

 

さて、その際にもお話したのですが、相続の対象となる財産が、不動産や株式なのか、現金や預貯金なのか、すなわち、当該財産が可分か、不可分かによって、その取扱いが大きく変わってきます。

 

まず、現金や預貯金は、基本的には可分なため、相続割合に基づいて分割して相続されます。

 

たとえば、妻と子ども2名が相続人である場合に、1000万円の現金があるとすると、妻が500万円、2名の子どもが250万円ずつ相続することになります。

 

他方、不動産は、現金や預金のような金銭債権と異なり、不可分ですから、相続持分に応じて分割して相続する、ということは基本的に出来ません。

そのため、各自の相続持分に応じて、一つの不動産を共有することになります。

具体的には、妻:子ども:子ども=4:1:1という割合で共有していることになります。

 

共有とは、非常に大雑把に言えば、複数の人が一つのものを一緒に持っている状態で、非常に不安定な状態です。

 

たとえば、共有物を変更・処分する場合は、共有者全員の同意が必要です(民法251条)。

また、共有物の使用・利用・改良行為等管理に関しては、「各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する。」とされている(民法252条本文)など、その権利行使に制限が加えられています。

 

家族間で仲が良い場合はいいのですが、仲が悪い場合は、不動産の利用を巡って争いが生じる可能性があります。

また、仲が良いと思っていた家族であっても、遺産分割協議が紛糾してしまうことも珍しくありません。

 

このような事態を避けるため、事前に相続対策をしておく必要があるのです。

(弁護士 國安耕太)

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相続の基礎2

さて、今回は、まず、相続の基本的なルールを押さえていきましょう。

 

たとえば、前妻との間に子どもが2人、現在の妻との間に子どもが2人いる方(被相続人)が亡くなった場合を考えてみましょう。

相続人は、妻、妻との子ども2人、前妻との子ども2人の合計5人です。

・民法887条1項:「被相続人の子は、相続人となる。」

・民法890条: 「被相続人の配偶者は、常に相続人となる。(以下略)」

 

つぎに、それぞれの相続割合ですが、相続割合は、

 

妻:妻の子:妻の子:前妻の子:前妻の子=4:1:1:1:1

 

となります。

・民法900条1号:「子および配偶者が相続人であるときは、子の相続分および配偶者の相続分は、各二分の一とする。」

・民法900条4号本文:「子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。」

 

また、前妻の子のうち1人が、相続開始時に亡くなっており、その子(被相続人の孫)がいるような場合、相続割合は、

 

妻:妻の子:妻の子:前妻の子:前妻の子の子:前妻の子の子=8:2:2:2:1:1

 

となります。

(弁護士 國安耕太)

 

*セミナーのご案内

「保険マンが身につけておけば必ずお客様が増えること」

日時:平成30年2月23日金曜日19:00〜

場所:東京都渋谷区神宮前1-4-20 1507号

参加費:5000円(懇親会費込み)

 

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相続の基礎1

平成30年2月23日金曜日、「保険マンが身につけておけば必ずお客様が増えること」というセミナーで、相続に関し、みなさんにぜひ知っておいていただきたいことについてお話しいたします。

 

タイトルは「保険マン」となっていますが、相続に関する基本的なルールについて、解説いたしますので、相続について学びたい方、事業承継をどのようにするか悩んでいる方は、ぜひ参加してみてください。

 

さて、本題に入りますが、みなさんは、毎年、相続に関して、どのくらい紛争が起こっているかご存知でしょうか?

 

少し古い資料ですが、最高裁判所が公開している平成28年の司法統計では、平成28年に全国の家庭裁判所が新たに受理した遺産分割調停(審判含む)事件の件数は、1万4662件となっています*1。

 

この数字だけ見ると、意外と少ないように思えるかもしれませんが、調停というのは、少なくとも相手方がいます。

また、紛争となるような事案は、関係者が多数に及ぶような場合も少なくありません。

 

したがって、平成28年に遺産分割調停(審判含む)事件に新たに関わることになった人は、少なくとも3万人以上はいるということになります。

 

ちなみに、平成27年に亡くなった方は130万2000人*2、平成28年に亡くなった方は129 万6000人であることからすれば、亡くなった方のうち約1%が、相続紛争に発展したともいえます。

 

このようにみていくと、相続紛争は、意外と身近にある、ということがわかるのではないでしょうか。

(弁護士 國安耕太)

 

*1

http://www2.mhlw.go.jp/topics/topics/saiyo/saiyo1.htm

 

*2

http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/suikei15/

 

*3

http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/suikei16/index.html

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自筆証書遺言の押印

先日(平成28年6月3日)、自筆証書遺言に関する、少し風変わりな最高裁判決が出されました*1。

 

自筆証書遺言について、民法は、「自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。」としています(968条1項)。

 

本件では、ここでいう押印は、通常用いられる印鑑を押すことのみならず、「花押*2」を書くことでもよいのか、ということが争われました。

 

原審の福岡高裁那覇支部は、「花押の一般的な役割に、a家及びAによる花押の使用状況や本件遺言書におけるAの花押の形状等を合わせ考えると、Aによる花押をもって押印として足りると解したとしても、本件遺言書におけるAの真意の確保に欠けるとはいえない。」と判示して、「花押」も民法968条1項の「押印」にあたると判断しました。

 

これに対し、最高裁は、「民法968条1項が、自筆証書遺言の方式として、遺言の全文、日付及び氏名の自書のほかに、押印をも要するとした趣旨は、遺言の全文等の自書とあいまって遺言者の同一性及び真意を確保するとともに、重要な文書については作成者が署名した上その名下に押印することによって文書の作成を完結させるという我が国の慣行ないし法意識に照らして文書の完成を担保することにある」との従来の最高裁判決を踏襲したうえで、「我が国において、印章による押印に代えて花押を書くことによって文書を完成させるという慣行ないし法意識が存するものとは認め難い。」として、「花押」は民法968条1項の「押印」にあたらないと判断しました。

 

なかなか「花押」を用いている方はいらっしゃらないと思いますが、興味深い事例ですので、ご紹介いたしました。

(弁護士 國安耕太)

 

*1

http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/930/085930_hanrei.pdf

 

*2

花押(かおう、華押)は、署名の代わりに使用される記号・符号をいう(ウィキペディアより)。

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相続の開始後に認知された者の価額の支払請求権

先日(平成28年2月26日)、相続の開始後に認知された者の価額の支払請求権(民法910条)に関し、遺産の価額算定の基準時を価額の支払を請求した時とする最高裁判決が出されました*1。

一般的な相続ではあまり関係のない条文ですが、この機会にちょっと整理をしてみましょう。

 

まず、共同相続人は、「いつでも、その協議で、遺産の分割をすることができる。」のが原則です(民法907条1項*2)。

また、遺産分割協議は、相続人全員が参加しなければならず、相続人を一人でも欠いた遺産分割協議は無効となります。

 

ただし、相続の開始後認知によって相続人となった者が遺産分割協議に参加していなかったという場合は、例外的に無効とはなりません。

この場合、当該相続人は、価額の支払を請求することができます(民法910条*3)。

 

では、この価額の支払を請求する場合における遺産の価額算定の基準時はいつか、ということが問題となりますが、これについて価額の支払を請求した時としたのが上記最高裁判決です。

 

この理由について最高裁は、「認知された者が価額の支払を請求した時点までの遺産の価額の変動を他の共同相続人が支払うべき金額に反映させるとともに、その時点で直ちに当該金額を算定し得るものとすることが、当事者間の衡平の観点から相当であるといえるから」としています。

 

以上のとおり、最高裁は、遺産の価額算定の基準時を価額の支払を請求した時としましたので、いつの時点で価格の支払を請求するかによって、遺産の価額算定の基準時が変動することになります。

今後は、いつの時点で価格の支払を請求するのか、不動産や経済状況の推移等を見て、判断していく必要がありそうです。

(弁護士 國安耕太)

 

*1

http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/705/085705_hanrei.pdf

 

*2 民法709条1項

「共同相続人は、次条の規定により被相続人が遺言で禁じた場合を除き、いつでも、その協議で、遺産の分割をすることができる。」

 

*3 民法910条

「相続の開始後認知によって相続人となった者が遺産の分割を請求しようとする場合、他の共同相続人が既にその分割その他の処分をしたときは、価額のみによる支払の請求権を有する。」

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相続対策と養子縁組

本年(平成27年)1月1日から、相続税の基礎控除額が変更になりました。

(基礎控除額を超えた部分に対し、相続税がかかります。)

 

従前は、5000万円+相続人の数×1000万円までが、基礎控除として認められていました。

ところが、本年1月1日からは、これが3000万円+相続人×600万円に変更になっています(相続税法15条1項*1)。

 

これがどういうことかといいますと、たとえば、相続人が2人の場合、従前は、

5000万円+2人×1000万円=7000万円

までは相続税がかかりませんでした。

これに対し、本年1月1日以降は、

3000万円+2人×600万円=4200万円

を超えると、相続税がかかることになります。

 

さて、ここで一つ疑問が沸きます。

相続人の数×600万円で、基礎控除額が決まるのであれば、沢山の人と養子縁組をすれば、基礎控除額も大きくなるのではないか・・・?

 

はい、やはりそう都合良くいくものではありません。

相続税法は、被相続人(亡くなった方)に養子がいる場合について、調整規定を置いています(相続税法15条2項*2)。

これによれば、実子がいる場合は1人まで、実子がいない場合は2人まで、上記基礎控除額の計算における相続人の数に含めることができるとされています。

 

したがって、沢山の人と養子縁組をしたとしても、基礎控除額は一定の範囲内に制限されることになります。

 

なお、これに対し、遺留分(民法1028条以下)の計算においては、養子の人数に制限はありません。

 

相続対策をする際には、専門家に相談する等これらのことも考えてきちんと行うようにしてください。

(弁護士 國安耕太)

 

*1

「相続税の総額を計算する場合においては、同一の被相続人から相続又は遺増により財産を取得した全ての者に係る相続税の課税価格の合計額から、3000万円と600万円に当該被相続人の相続人の数を乗じて算出した金額との合計額(以下「遺産に係る基礎控除額」という。)を控除する。

 

*2

「前項の相続人の数は、同項に規定する被相続人の民法第5編第2章(相続人)の規定による相続人の教(当該被相続人に養子がある場合の当該相続人の数に算入する当該被相続人の養子の数は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める養子の数に限るものとし、相続の放棄があつた場合には、その放棄がなかったものとした場合における相続人の数とする。)とする。

一 当該被相続人に実子がある場合又は当該被相続人に実子がなく、養子の数が1人である場合 1人

二 当該被相続人に実子がなく、養子の数が2人以上である場合 2人」

 

 

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相続と連帯保証

来月19日に、午後7時から第8回想続セミナー「あなたの自宅は大丈夫?~ビルオーナーのための笑顔の相続⑤~」を開催いたします*。

相続事件を多数手掛ける税理士、司法書士、弁護士がそれぞれの経験と専門的見地から、相続事案を分析・解説します。

ぜひ参加をご検討ください。

 

さて、相続の際に顕在化する問題として、連帯保証契約があります。

相続が発生すると、預金のような金銭債権は、法定相続分に応じて当然に分割されますが、このとき、借金のような負債も、法定相続分に応じて当然に分割されてしまいます。

 

これは、たとえ相続人間で、一人の相続人を当該連帯保証債務の債務者と定めた場合であっても同じです。

たとえば、被相続人Aさんの相続人が、BさんとCさんであった場合に、BさんとCさんとの間で、Bさんだけが負債を相続すると合意をしていたとしても、これは当事者であるBさんとCさんとの間でのみ効力が生じるにすぎず、これを債権者に対し、対抗することはできません。

 

すなわち、対債権者との関係では、Bさんだけでなく、Cさんも相続したものとして、債務者として取り扱われることになります。

もちろん、当事者であるBさんとCさんとの間では、有効な合意となりますから、Cさんが借金を返済したような場合には、その返済額をBさんに求償することはできます。

ただ、上記のとおり、債権者に対しては、支払義務を負ってしまうことになりますので、注意が必要です。

 

もし、一切の債務を負わないようにするのであれば、相続放棄をするしかありません。

したがって、財産を相続する気がないのであれば、遺産分割協議書で財産を受け取らないようにするのではなく、相続放棄をすることをお勧めします。

 

正しい知識を持って、円満かつ円滑な相続を目指しましょう。

(弁護士 國安耕太)

 

*

時間:19時~21時

場所:東京都港区新橋1-18-19

キムラヤオオツカビル7階

会費:2000円(税込)

定員:15名

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内縁と相続

来月19日に、午後7時から第8回想続セミナー「あなたの自宅は大丈夫?~ビルオーナーのための笑顔の相続⑤~」を開催いたします*1。

相続事件を多数手掛ける税理士、司法書士、弁護士がそれぞれの経験と専門的見地から、相続事案を分析・解説します。

ぜひ参加をご検討ください。

 

さて、法的な婚姻関係にはないものの、夫婦生活を営んでいる場合を、一般的に内縁関係と呼んでいます。

この内縁は、判例上、婚姻に準ずる関係として取り扱われています(最高裁昭和33年4月11日判決、最高裁判所民事判例集12巻5号789頁)。

男女が相協力して夫婦としての生活を営む結合であるという点においては、婚姻関係と異なるものではない、というのが理由です。

 

したがって、内縁を解消する場合には、離婚における財産分与の規定(民法768条)が類推適用される等、婚姻関係に準じた保護を受けることができます。

 

しかし、内縁の配偶者が死亡した場合、すなわち、相続が発生した場合については、解釈が異なります。

すなわち、「内縁の夫婦について、離別による内縁解消の場合に民法の財産分与の規定を類推適用することは、準婚的法律関係の保護に適するものとしてその合理性を承認し得るとしても、死亡による内縁解消のときに、相続の開始した遺産につき財産分与の法理による遺産清算の道を開くことは、相続による財産承継の構造の中に異質の契機を持ち込むもので、法の予定しないところである」(最高裁平成12年3月10日判決、最高裁判所民事判例集54巻3号1040頁)として、内縁の配偶者の相続権を否定するのが判例の考え方です。

 

それゆえ、たとえば内縁の夫が死亡した場合、その妻は、内縁の夫の財産を相続することは出来ない、ということになります(相続人がいない場合は、特別縁故者*2として、相続財産を取得することができることがあります(民法958条の3))。

 

したがって、内縁の配偶者に財産を残したい場合は、遺言書等を作成しておかなければならない、ということになります。

なお、相続人には遺留分*3という権利がありますので、遺言書等を作成する場合は、専門家にきちんと依頼することをお勧めします。

(弁護士 國安耕太)

 

*1

時間:19時~21時

場所:東京都港区新橋1-18-19

キムラヤオオツカビル7階

会費:2000円(税込)

定員:15名

 

*2

特別縁故者とは、被相続人と生計を同じくしていた者や被相続人の療養看護に努めた者です。特別縁故者には、家庭裁判所の判断により、相続財産の一部または全部が与えられます。

 

*3

一定の相続人に留保されていて、遺言による自由な処分に対して制限が加えられている持分的利益。

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雑誌「きらめき百歳」に連載中です。

当事務所、國安耕太弁護士が、雑誌「きらめき百歳」にて、連載しています。

実際に國安弁護士が経験した事案を元に、様々な法的トラブルを紹介しています。

ぜひご一読ください。

(事務局)

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