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2016年5月の投稿

【雑感】プロ野球観戦と損害賠償(続報)

昨年(平成27年)3月26日、札幌地裁で、観客が、打者の打ったファウルボールで失明した事故に関し、球団や球場等に損害賠償責任を認める判決が出され、本ブログでも、紹介しました*1。

この判決については、球団および球場が札幌高裁に控訴していましたが、先日(平成28年5月20日)、控訴審の判決が出されました*2。

 

控訴審判決は、一審判決と異なり、工作物責任ないし営造物責任上の瑕疵を否定しました。

すなわち、一審判決は、「座席付近の観客席の前のフェンスの高さが、ファウルボールの飛来を遮断できるものではなかったこと」を主たる理由として、安全設備等の内容が通常有すべき安全性を欠いていており、工作物責任ないし営造物責任上の瑕疵があったと判断しました。

 

他方、控訴審判決は、本件ドームにおける内野フェンスの高さは、公益財団法人日本体育施設協会が作成した「屋外体育施設の建設指針」(平成24年改訂版)および他のプロ野球の球場におけるフェンス等と比較しても特に低かったわけではないことや他の安全対策を考慮すれば、「通常の観客を前提とした場合に、観客の安全性を確保するための相応の合理性を有しており、社会通念上プロ野球の球場が通常有すべき安全性を欠いていたとはいえない。」と判断しています。

 

控訴審判決も指摘していますが*3、過度な安全設備を要求することは、プロ野球観戦の娯楽としての価値を著しく損なうものとなりかねませんから、妥当な判断ではないかと思います。

 

なお、上記のとおり、控訴審判決は工作物責任ないし営造物責任上の瑕疵を否定しましたが、野球観戦契約に信義則上付随する安全配慮義務違反を根拠に、球団に被害者に対する損害賠償金の支払を命じており、被害者の一定の救済を図っています。

 

野球観戦をする際には、打球の行方に十分注意してください。

(弁護士 國安耕太)

 

*1

【雑感】プロ野球観戦と損害賠償

*2

http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/916/085916_hanrei.pdf

 

*3

「危険がほとんどないような徹底した安全設備を設けることを法律上要求することは、プロ野球観戦の娯楽としての本質的な要請に反する面があり、相当とはいえない」

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厚生労働省、長時間労働に関する行政指導で企業名を初めて公表

先日(平成28年5月19日)、厚生労働省が、長時間労働に関する行政指導で企業名を初めて公表したとの報道がありました*1。

 

千葉市にある棚卸し業務の代行会社「エイジス」が、従業員63人に対し、違法に月100時間を超える残業をさせていたとのことです。

 

昨年、厚生労働省は、過重労働対策強化のため、違法な長時間労働を行う事業所に対して監督指導を行う「過重労働撲滅特別対策班(通称「かとく」)」を、東京労働局と大阪労働局に新設し、社会的に影響力の大きい企業が、違法な長時間労働を繰り返している場合には、是正を指導した段階で公表するとの方針を発表していました*2。

 

なお、具体的には、

①複数の都道府県に事業場を有している企業であって、中小企業に該当しない企業であること

②㋐労働時間、休日、割増賃金に係る労働基準法違反が認められ、かつ㋑1か月当たりの時間外・休日労働時間が100時間を超えている違法な長時間労働を行わせていること

③1箇所の事業場において、10人以上の労働者または当該事業場の4分の1以上の労働者に違法な長時間労働を行わせていること

④上記①②のような実態が概ね1年程度の期間に3箇所以上の事業場で繰り返されていること

という要件を満たしている場合に、指導・公表の対象となります*3。

 

このように、近時は、従業員に違法な長時間労働を行わせることによって、従業員自身に健康障害が発生し、損害賠償請求を受けてしまうというリスクのみならず、公表されることによって、企業イメージや信用の低下というリスクも生じ得ます。

 

このような状況にかんがみて、企業にとっては、長時間労働の是正が喫緊の課題といえるでしょう。

(弁護士 國安耕太)

 

*セミナーを開催いたします。

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開催日時:5月26日(木)

セミナー 19~20時30分

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場所:株式会社アセットリード「セミナールーム」

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参加資格:なし(経営者・人事担当者向けセミナーになります。)

講師:森 泰造(株式会社みらい創世社代表取締役)

村中幸代(ノースブルー社会保険労務士事務所代表)

定員:30名

受講料:5000円

 

*1

http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/ann?a=20160519-00000046-ann-soci

 

*2

http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000085324.pdf#search=’%E9%81%8E%E9%87%8D%E5%8A%B4%E5%83%8D%E6%92%B2%E6%BB%85%E7%89%B9%E5%88%A5%E5%AF%BE%E7%AD%96%E7%8F%AD+%E5%8E%9A%E7%94%9F%E5%8A%B4%E5%83%8D%E7%9C%81+%E5%85%AC%E8%A1%A8

 

*3

「長時間労働に係る労働基準法違反の防止を徹底し、企業における自主的な改善を促すため、社会的に影響力の大きい企業が違法な長時間労働を複数の事業場で繰り返している場合、都道府県労働局長が経営トップに対して、全社的な早期是正について指導するとともに、その事実を公表する。」

 

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『勤務間インターバル制度』の導入と助成金

厚生労働省は、勤務間インターバル制度を就業規則に明記し、導入した企業に助成金を出す方針を固めたとの報道がありました(日本経済新聞 2016年5月4日掲載)。

 

勤務間インターバル制度とは、従業員が退社してから翌日に出社するまで一定時間を空けることを強制する制度で、たとえば、欧州連合(EU)では、1993年に法律を制定し、退社から出社までの休息時間を11時間確保したうえで、4か月平均で48時間以上は働かせてはならないと義務づけています。

 

我が国でも、労働基準法第32条で、休憩時間を除き1週間について40時間、1日について8時間を超えて、労働させてはならないという規制があります。

また、使用者と労働者(以下「労使間」という。)で、書面による協定をし、行政官庁に届け出ない場合には、労働時間を延長し、または休日に労働させることができない(いわゆる36協定)という規制もあります。

しかし、労使間で36協定を結んだ場合でも、特別条項を結べば月45時間以上の労働が可能となるため、実質的に労働時間に上限がない状態になってしまっています。すなわち、特別条項を結ぶ場合、延長できる時間についての上限時間は定められておらず、できる限り延長時間を短くするよう努めることという努力義務が定められているにとどまります(「労働時間の延長の限度等に関する基準(第3条第2項)」)。

実際、同記事に記載されていた統計でも、週49時間以上働く人が約22%で、欧米の10~15%と比べて多いとされています。

 

このため、我が国では、長時間労働の解消が喫緊の課題となっており、厚生労働省はその解消方法を検討していました。

 

なお、厚生労働省は、今のところ、勤務間インターバル制度を義務化するのではなく助成金を交付することで自主的に導入を促し、長時間労働の解消を進めていく方針です。

具体的には、長時間労働の解消に取り組む中小企業を対象とする「職場意識改善助成金」に勤務間インターバル制度に関する項目を加え、労務管理用のソフトウェアの購入費や生産性を高めるための設備や機器の導入費用などを支援します。

 

現時点では、インターバルの時間や支給額等の詳細は未定ですが、早ければ2017年度から最大100万円の支給があるかもしれません。

 

今後の動向に注目です。

なお、助成金申請は、手続きが複雑で、必要な書類も多いです。

自社での対応も不可能ではありませんが、事前に一度社会保険労務士に相談してみることをお勧めします。

(弁護士 國安耕太、社会保険労務士 村中幸代)

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【雑感】国民の休日

ゴールデンウィークが終わりました。

みなさまは、いかがお過ごしでしたでしょうか。

海外に行かれた方、国内でゆっくりされた方、仕事だった方もいるかもしれません。

(当事務所も、だいたい誰かは出てきているような状況でしたが・・・。)

 

さて、そんなゴールデンウィークですが、現在は、5/3の憲法記念日、5/4のみどりの日、5/5のこどもの日という3つの祝日が定められています(「国民の祝日に関する法律第2条」)。

 

具体的には、つぎのとおり規定されています。

憲法記念日 五月三日 日本国憲法の施行を記念し、国の成長を期する。

みどりの日* 五月四日 自然に親しむとともにその恩恵に感謝し、豊かな心をはぐくむ。

こどもの日 五月五日 こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかるとともに、母に感謝する。

 

憲法記念日とみどりの日の意味合いは、イメージのとおりですが、こどもの日に、「母に感謝する」との意味があるのは少し意外かもしれません。

 

また、国民の祝日に関する法律には、『「国民の祝日」が日曜日に当たるときは、その日後においてその日に最も近い「国民の祝日」でない日を休日とする。』(3条2項)との規定があります。

この規定によって、たとえば5月3日が日曜日だったような場合、5月6日の水曜日が振替休日となります(昨年のカレンダーを確認してみてください。)。

 

さらに、『その前日及び翌日が「国民の祝日」である日(「国民の祝日」でない日に限る。)は、休日とする。』(3条3項)との規定もあります。

(現状、この規定が適用される可能性があるのは敬老の日と秋分の日がある9月だけです。)

 

このように、身近なところで法律が運用されています。

(弁護士 國安耕太)

 

*

2006年までは、みどりの日は4/29でした(現在、同日は昭和の日になっています。)

昭和の日 四月二十九日 激動の日々を経て、復興を遂げた昭和の時代を顧み、国の将来に思いをいたす。

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