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先週、業務委託契約といっても、契約ごとに検討しなければならない事項が異なってくる、というのが最大の特徴である、という話をしました。
そして、基本的には、当事者間で合意ができれば、どのような内容を定めても構わないのですが、注意しなければならないことが2点あります。
1点目は、偽装請負(違法派遣)の問題です。
偽装請負とは、実質は労働者派遣(場合によっては労働者供給)でありながら、請負契約や業務委託契約の形式で行う労務提供を指します。
実質的には労働者派遣なのに、形式的に請負契約(業務委託契約)として、派遣法により課された元事業主および派遣先事業主の義務が果たされず、派遣労働者の保護という派遣法の趣旨を没却することが問題とされています。
偽装請負と判断されると、受託者は、派遣事業主と判断され、派遣法違反として罰則を受け、委託者も派遣法違反となり、行政処分の対象となります。
したがって、業務委託契約を締結するにあたっては、偽装請負との指摘を受けないよう、注意する必要があります。
2点目は、下請法の規制です。
下請法は、正式名称を下請代金支払遅延等防止法といいます。
下請法は、強行法規のため、たとえ当事者間で合意したとしても、その適用を排除することはできません。
下請法が適用される場合、親事業者は、下請法に定められた義務を履行し、一定の行為が禁止されます。
これらの規制に違反した場合には、行政処分(指導・勧告)の対象となります。
委託者としては、業務委託契約を締結する際に、下請法が適用されるかを確認し、適用される場合には、契約書が下請法に従った内容になっているかを確認する必要があります。
(弁護士 國安耕太)