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労災事故と労働災害保険

3月20日、大阪地方裁判所は過労自殺した社員の勤務先に約1億円の損害賠償を命じました。原告は、時間外労働時間が月約113~254時間にも及んでいたと主張しています。

http://www.sankei.com/west/news/150320/wst1503200053-n1.html

 

労働契約法5条は、「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。 」と定め、また過労死・過労自殺に関する代表的な裁判例である最高裁判所第二小法廷平成12年3月24日は、「使用者は、その雇用する労働者に従事させる業務を定めてこれを管理するに際し、業務の遂行に伴う疲労や心理的負荷等が過度に蓄積して労働者の心身の健康を損なうことがないよう注意する義務を負う」としています。

具体的には、労働者の心身の状況に応じ、長時間労働の抑制、配置転換、休暇の付与、配置人員を増やす、業務体制を見直すなどの措置をとらなければいけません。

これらの義務に違反したことにより健康被害、死亡や自殺が発生したとされる場合には、使用者は損害賠償義務を負います。

 

一方、労働者を1人でも雇用している場合、その使用者はごく一部の例外を除いて労災保険に加入しなければなりません。

しかし、労災保険から支払われる額は、本来損害賠償できる額の一部でしかありません。特に、慰謝料は支払の対象ではありません。

 

従業員が亡くなるような重大事故の場合、慰謝料が極めて高額になります。

そして、労働安全衛生法が改正され、今年12月1日より従業員の医師・保健師などによるストレスチェックが義務化されることに伴い、使用者の負う義務はますます重くなっていく可能性があります。

 

このようなリスクに対応するものとして労働災害総合保険(法定外補償保険・使用者賠償責任保険)があります。これは、労災保険がカバーしない部分について支払対象とする保険です。

 

そもそも労災事故が起きないことが望ましいのはもちろんですが、近時の裁判例の動向を踏まえますと、万一に備えて労働災害総合保険への加入も検討すべき時代になったと言えるでしょう。

(弁護士南部弘樹)

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