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【雑感】競馬の外れ馬券と所得税法上の必要経費

昨日(2015年3月10日)、馬券を長期間にわたり多数回かつ頻繁に網羅的な購入をして当たり馬券の払戻金を得ることにより多額の利益を上げていた被告人が、その所得につき正当な理由なく確定申告書を期限までに提出しなかったという所得税法違反の事案に関する最高裁判決が出されました。

http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/934/084934_hanrei.pdf

 

この事案は、一時期、「競馬の外れ馬券が、所得税法上の必要経費にあたる」と判断されたとして、報道されていましたので、記憶にある方もいると思います。

 

ただ、残念ながら、一審判決(大阪地裁平成26年10月2日判決)および本最高裁判決のいずれも、一般的に競馬の外れ馬券が、所得税法上の必要経費にあたると判断したものではない、ことに注意が必要です。

 

すなわち、本事案は、毎週土日に開催される中央競馬の全ての競馬場のほとんどのレースについて、数年以上にわたって大量かつ網羅的に、一日当たり数百万円から数千万円、一年当たり10億円前後の馬券を購入し続けていたという非常に特殊な事案です。

かかる特殊な事案であるからこそ、一連の馬券の購入が一体の経済活動の実態を有するといえるとして、「払戻金は営利を目的とする継続的行為から生じた所得として所得税法上の一時所得ではなく雑所得に当たる」と判断され、また、「当たり馬券の購入代金の費用だけでなく、外れ馬券を含む全ての馬券の購入代金の費用が当たり馬券の払戻金という収入に対応するということができ」るとして、「外れ馬券の購入代金について当たり馬券の払戻金から所得税法上の必要経費として控除することができる」と判断されました。

 

以上のとおり、本事案で「競馬の外れ馬券が、所得税法上の必要経費にあたる」と判断されたのは、上記のとおり非常に特殊な事情が存したからです。

したがって、一般の方が、趣味の範囲で馬券を購入するような場合には、残念ですが、必要経費として計上することはできません。

馬券の購入は節度をもって行いましょう。

(弁護士 國安耕太)

 

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