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平成29年度上半期最高裁判例ダイジェスト②

平成29年度上半期(1月~6月)に出された最高裁判決の中から、特に気になった判決を今週から4週連続で、紹介していく企画の2週目です。

 

2つめの最高裁判決(決定)は、1つ目の最高裁判決と同じ平成29年1月31日に出された投稿記事削除仮処分決定認可決定に対する抗告審の取消決定に対する許可抗告事件(平成28年(許)第45号)です。

 

この事案は、児童買春法*1違反で、罰金刑に処せられた者が、人格権ないし人格的利益に基づき、検索事業者に対し、自己のプライバシーに属する事実を含む記事等が掲載されたウェブサイトのURLならびに当該ウェブサイトの表題および抜粋を検索結果から削除することを求めたものです。

 

最高裁は、「個人のプライバシーに属する事実をみだりに公表されない利益は、法的保護の対象となるというべきである」とする一方で、

「検索結果の提供は検索事業者自身による表現行為という側面を有する。」「検索事業者による検索結果の提供は、現代社会においてインターネット上の情報流通の基盤として大きな役割を果たしている。」とし、

「検索事業者による特定の検索結果の提供行為が違法とされ、その削除を余儀なくされるということは、上記方針に沿った一貫性を有する表現行為の制約であることはもとより、検索結果の提供を通じて果たされている上記役割に対する制約でもあるといえる。」ことから、

 

「検索事業者が、ある者に関する条件による検索の求めに応じ、その者のプライバシーに属する事実を含む記事等が掲載されたウェブサイトのURL等情報を検索結果の一部として提供する行為が違法となるか否かは、当該事実の性質及び内容、当該URL等情報が提供されることによってその者のプライバシーに属する事実が伝達される範囲とその者が被る具体的被害の程度、その者の社会的地位や影響力、上記記事等の目的や意義、上記記事等が掲載された時の社会的状況とその後の変化、上記記事等において当該事実を記載する必要性など、当該事実を公表されない法的利益と当該URL等情報を検索結果として提供する理由に関する諸事情を比較衡量して判断すべきもので、その結果、当該事実を公表されない法的利益が優越することが明らかな場合には、検索事業者に対し、当該URL等情報を検索結果から削除することを求めることができるものと解するのが相当である。」と判示しました*2。

 

これまでもプライバシーの保護と表現の自由との衝突場面が争点となった事案がありますが、本件もその1つのメルクマールとなるといえます。

(弁護士 國安耕太)

 

*1

児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰および児童の保護等に関する法律

 

*2

http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/482/086482_hanrei.pdf

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